2012年10月28日日曜日

成人の風疹



今年はじめて成人風疹例を診ました.1979年4月生まれ〜1987年10月生まれの人たちが風疹ワクチン未接種の世代になりますが、その世代が結婚して家庭をもつ時期に重なっています.自分が風疹にかかるのであれば、苦しい数日を乗り切ればさほど大きな問題はないといえますが、この世代は、とくに子どもを授かる可能性にある世代であり、先天性風疹症候群に注意が必要です.

予防目的で風疹ワクチンを任意で接種することは可能です.一般的には抗体をもっているか確認してからになりますが、急いでいる場合は抗体検査なしで接種することも可能です.妊娠中にワクチン接種はできません.

【先天性風疹症候群の発生頻度】
母親が明らかな症状のある場合:
・妊娠1 カ月で50%上、2カ月で35%、3カ月で18%、4カ月で8%程度
・母親が発疹を生じても胎児まで感染が及ぶのは約1/3であり、 
  またその感染胎児の約1/3 がCRS となる.
母親に症状がない場合
・成人でも15%程度不顕性感染があるので、母親が無症状でも発生し得る.

【胎児が感染したかどうかを判定する方法】
胎児が感染したか否かは、胎盤絨毛、臍帯血や羊水などの胎児由来組織中に風疹ウイルス遺伝子を検出することで診断できる.