2010年6月22日火曜日

急に始まった咳の原因:マイコプラズマ感染症

マイコプラズマ(Mycoplasma pneumoniae)感染症は、急性の呼吸器感染症を起こす微生物です.咽頭炎、鼻炎などの上気道炎、気管支炎、肺炎など空気の通り道の上から下までを侵します.

一番多いのは感染者の約75%を占める急性気管支炎です.咳やくしゃみの飛沫を吸い込むことで、家族、寮、学校のような濃厚な接触をする閉鎖集団の中で小流行します.どの年齢でも罹りますが、学童から35歳位までの若年成人に多く見られます. 

発症は、1週間ほどの潜伏期の後、倦怠感、頭痛などで始まり、間もなく咳、咽頭痛、鼻水、声枯れなどが続きます.年長児や成人では熱が出ない事もあります.咳は長引く激しいものです.喉の痛み、鼻水、鼻づまりなどの上気道炎症状は20~30%に見られる程度で、あまり多くありません.肺炎までおこしてしまうのはマイコプラズマ感染者全体の約5%(20人に1人)です.

診断は、血清中のマイコプラズマに対する抗体を検出する方法が一般的です.しかしこの方法では、感染初期には抗体価が低く、通常は約2週間後の2回目の採血(ペア血清)で4倍以上の抗体価上昇を確認して初めて診断できる場合が多く、初診の時点での診断は困難です.単一血清ではPA法で320倍で陽性と診断可能とされています.最近は、発病早期に上昇するIgM抗体を検出する迅速診断キットも用いられていますが、発病後約3-4日経過しないと上昇しないこともあり、臨床経過とあわせた総合評価が必要です.

参考HP: